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観たり、読んだり、描いたり

気が付くともう3月。いやになるほど月日は早く過ぎていく。

映画を観た。「彼らが本気で編むときは」。

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宣伝は生田斗真主演で押しているが、観た感じは子役が主役の映画だった。柿原りんかさんという役者さんですが(設定では小学5年生か6年生)、母親に半ば捨てられ転がり込んだ先の叔父が同居するパートナーは性転換したどう見ても男性にしか見えない<女性>であり、なぜか仲の良い同級生も性同一性障害らしい男の子という中で、周囲の偏見と差別と闘いつつ折り合いをつけていくという難しい役柄を好演していた。なかなか良い映画であった。しかし知り合いが製作者でなかったら観なかっただろうなあ。川崎東宝シネマズ水曜12:15の回160席が6~7割程度の入り。そのうち8割くらいが女性。年齢層は30から50くらい。クライマックスでは各所で啜り泣きが。。しかしなんとも題名が覚え難い。

このところ必要があって戦後間もないころに出版された小説、評論などを読んでいる。
小島信夫の「抱擁家族」は40年ぶりくらいの再読。「アメリカンスクール」は初見。敗戦に続く占領と、それに伴い奔流のように流入してきたアメリカ的価値観が日本人、とくに男性に与えた文化的混乱というか、ジェンダー的ダメージを執拗に描いている。男ってのは厄介でホントめんどくさい生き物だという<民主主義的>視点が当時新しかったのだろう。

とても興味深かったのが、アメリカ人が編集にあたった「街娼 パンパン&オンリー」という短編小説のアンソロジー。収録作品は以下。

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「黄金伝説」 石川淳
「オンリー達」 広池秋子
「北海道千歳の女」 平林たい子
「蝶になるまで」 芝木好子
「人間の羊」 大江健三郎
「星の流れに」 色川武大
「嘉間良心中」 吉田スエ子
「ランタナの花の咲く頃に」 長堂英吉
いずれも初見。うまく感想がまとまらないのだが、戦後の一時期確かにこの国にあった現実を知るという意味で、貴重な記録的な作品群なのであろう。右肩上がりの復興という時代はとおに過ぎて、新たな貧困文学が生まれているいまこの本を読んでいると、奇妙な既視感に襲われつつ、同時に日本も随分遠くまで来たものだという思いが重なる。

絵の方は、今年に入って50号を3点描き上げた。
かなりのハイペース。6月の個展に向けて、あと数点満足のいく作品を仕上げたい。
小型の絵も描かなければと思いつつ、どうしても大きな絵を描きたくなる。
売れる可能性は限りなく低くなるのに。。
by votanoria | 2017-03-02 12:50 | その他 | Trackback